羊しゃぶしゃぶ / 涮羊肉 1人前(つまみとビール代含む)
涮羊肉(羊しゃぶしゃぶ)は、中国・北京を中心とする北方地域で盛んに食される羊肉料理である。主に薄切りにした羊肉を、中央に煙突状の炉がある銅鍋で熱したスープにくぐらせて火を通し、ごまだれや各種薬味とともに食べるのが特徴である。伝統的には冬季の滋養料理として重宝され、家族や友人との社交の場でも親しまれてきた。北京では多くの専門店があり、古くから伝わる調理法や素材選びを今も守り続けている。
- 味評価
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唐辛子の鍋はそこまで辛くなくていい感じのピリ辛で楽しめた。
- 価格
- 213 人民元
- 食事日
- 2025/09/25
グルメAIによる解説
羊しゃぶしゃぶ / 涮羊肉の起源と歴史
涮羊肉(シュアンヤンロウ)は中国北部、とりわけ北京を中心とする華北地域で広く親しまれる伝統的な鍋料理である。主に薄切りの羊肉を用い、専用の火鍋に沸騰させたスープでしゃぶしゃぶのように素早く火を通して食することが特徴で、歴史的には元朝時代(13世紀〜14世紀)に遡るとされている。その発祥は遊牧民文化に根差しており、モンゴル族によってもたらされた食文化の一つとも言われている。やがて清朝時代には宮廷料理にも採用され、都市部や庶民層にも広く普及した。
特徴と調理法
羊しゃぶしゃぶの最大の特色は、中央に煙突型の炉を備えた「銅鍋」を用いる点にある。この銅鍋は熱伝導性に優れており、内側に炭火やガスを用いてスープを熱し続ける。スープは主に清湯(シンプルな肉出汁)または唐辛子や花椒などを加えたピリ辛のものが利用され、具材に風味を添える役割を持つ。食材の中心は新鮮な羊肉で、部位ごとに異なる食感と旨味が楽しめる。通常は薄切り肉のほか、春雨、白菜、豆腐、香菜などの野菜や各種きのこも一緒に食される。
火鍋のスープに羊肉を数回くぐらせ、半生の状態で引き上げ、各自の好みに応じたタレでいただくのが涮羊肉の一般的な食べ方である。タレには「芝麻醤(ごまダレ)」が定番で、独特のコクと香ばしさが羊肉と良く合う。薬味としては刻みネギ、香菜、唐辛子、ニンニクなどが頻繁に用いられる。それぞれを好みに応じて混ぜて独自の風味を作ることも涮羊肉の楽しみの一つである。
北京・大銅鍋における涮羊肉の位置づけ
北京市内では多くの専門店が存在し、伝統的な銅鍋による提供を今も重視している。今回訪れた「大銅鍋」は、北京市内でも老舗のひとつとして知られ、素材の質と伝統的な調理法にこだわる店である。同店では新鮮な羊肉を日々仕入れ、手切りによる美しい薄さと均質な脂身が特徴とされている。
また、ピリ辛のスープベース(麻辣湯)は、近年中国各地で流行している四川風火鍋の要素を一部取り入れることで、従来のまろやかな清湯とは異なる刺激と風味を楽しむことができる。唐辛子の辛味と、花椒のシビレ感によって、羊肉の甘みがより引き出されると言われている。ただし、北京式涮羊肉は四川火鍋ほど激烈な辛さを追求しないため、幅広い層に愛されている。
栄養と社会的役割
羊肉は、たんぱく質・鉄分・ビタミンB群などを豊富に含み、身体を温める食材として中国では冬場の定番食とされている。特に中国北方の厳寒の季節には、体力回復や滋養強壮を目的として多くの家庭で楽しまれる料理である。羊しゃぶしゃぶは、家族や友人と鍋を囲むことで交流を深める役割も担うとともに、宴会料理や接待にも多用されている。
現代における発展とグローバル化
21世紀に入り、羊しゃぶしゃぶは中国国内のみならず、東アジアや欧米の都市でも専門店が出現するなど、国際的な知名度を高めている。現在ではアジア系スーパーで羊肉の薄切りを手軽に調達できるようになり、自宅での再現もしやすくなった。また、ベジタリアン対応や、さまざまなスパイスを取り入れた新しいアレンジも登場し、食文化としてのさらなる発展が続いている。