羊焼肉 / 炙子烤肉 1人前(つまみとビール含む)
羊焼肉(炙子烤肉)は、中国北部、特に北京を中心に親しまれている代表的な羊肉料理である。薄切りにされた羊肉を特製のタレや香辛料で下味を付け、鉄製の炙り焼き用プレート(炙子)や炭火の上で焼き上げて食す形式が基本となっている。歴史は清代中期にまで遡り、当時は宮廷料理や庶民の食卓の両方で人気を博した。近代においても、北京の有名店「烤肉刘」などをはじめ、伝統的なレシピや調理法を守り続ける店舗が多く存在している。羊焼肉はシンプルながらも繊細な味付けや、食事を通じての交流という側面を持ち、中国の食文化の多様性や地域性を今に伝えている。
- 味評価
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柔らかくてジューシーで臭みもほとんどないけどもしっかり羊の旨味がある。文句なしの老舗の味。
- 価格
- 162 人民元
- 食事日
- 2025/09/21
- 食べ歩きの記録
- ジンギスカンの起源説がある北京の焼肉、炙子烤肉 (ジイズウカオロウ)。
1900年創業のお店、烤肉刘で食べよう!
柔らかくてジューシーなラム。臭みは控えめで旨味ガッツリ、さすが老舗の味だ。北海道生まれの自分としてはマトンの臭みが恋しいけど、想像で補うことで解決!
グルメAIによる解説
羊焼肉(炙子烤肉)の概要
羊焼肉、特に中国語で「炙子烤肉(ジイズーカオロウ)」と呼ばれる料理は、北京や北方中国の伝統的な羊肉料理として知られている。炙子烤肉は、羊肉を薄切りにし、特製のタレや香辛料に漬け込んだ後、専用の炙り焼き用の鉄板や炭火グリルで焼いて味わうスタイルが一般的である。羊肉料理は中国内蒙古自治区や北方遊牧民の食文化に端を発し、多様な地方様式の中で発展してきたが、とりわけ北京の老舗店舗や家庭において「炙子」と呼ばれる道具を用いた焼き肉は、清代中期には宮廷料理にも取り入れられるほど評価された。
歴史と背景
北京の炙子烤肉の歴史は、19世紀後半から20世紀初頭にかけてとされる。羊肉の消費が盛んな華北地域では、肉を薄く切り分ける技術と独自の味付けが発展し、街中や家庭にまで広まった。1900年創業の老舗「烤肉刘」は、その伝統を今に伝えている名店の一つである。
炙子自体は鉄製の丸い網または鉄板で、テーブル上に炭火や専用コンロを据えて、自ら焼きながら食する文化が特徴的である。この形式は日本の「ジンギスカン」とも関連する説があり、ジンギスカン料理の発祥地について論じられる際には、北京式炙子烤肉もその候補として登場する。羊肉の調理方法や食卓を囲むスタイルは、西アジアや中央アジアのケバブ文化、さらには西洋のバーベキューとも共通点を持つ。
調理方法と特徴
羊焼肉で用いられる肉は、通常ラム(仔羊)やマトン(親羊)が主流であるが、北京においては柔らかくジューシーなラム肉の人気が高い。漬け込みダレには、醤油、胡麻油、しょうが、にんにく、葱、香菜(パクチー)などが使われるほか、クミンや唐辛子といったスパイスも加味されることが多い。肉は短時間の焼きで食べるため、旨味が濃縮されつつ、臭みが抑えられる工夫がなされている。
付け合わせにはスライスした紫玉ねぎや香菜、独特のタレ数種(例えばごまダレや青唐辛子入りのソースなど)が添えられる。これらは羊肉の旨味や香りとよく調和し、アクセントを加える役割を果たしている。また、現地のビールとの相性も良く、食事の際には清涼感が加わる。
文化的意義と現代
炙子烤肉は北京庶民の味として親しまれ、家族や友人との団欒に欠かせない料理である。清の末期には貴族や文人の間でも高級なもてなし料理とされ、羊肉の品質やタレのレシピを競い合う名店が数多く誕生した。今日でも老舗店や現代風のレストランで提供されるほか、中国各地や国外の中華料理店にも広がっている。
また、羊肉を焼くという調理法を通じて、民族の越境や食文化の交流が色濃く反映されており、北京の炙子烤肉は食の文化的多様性を象徴する存在となっている。羊肉独特の旨味と香りを活かしつつ、現代人の嗜好にも対応できる柔軟な料理の形を維持している点も、長年愛される理由の一つである。
関連料理・比較
中国の他地域では「羊肉串(ヤンロウチュアン)」、新疆ウイグル自治区の「シシカバブ」など、串焼きタイプの羊肉料理も人気が高い。これらと比べて、炙子烤肉はスライス状の肉を自分で卓上で焼いて味わう点に特徴があり、自由度やコミュニケーション性の高さも評価されている。