驴打滚(ルーダーグン)くり味
驴打滚(ルーダーグン)は、中国北京市を起源とする伝統的な餅菓子である。主に蒸したもち米や糯米粉の生地に餡を巻き込み、全体にきな粉をまぶして仕上げるのが特徴で、見た目が「ロバが地面で転がる様子」に似ていることからその名が付けられた。現地では定番の小豆餡やごま餡、緑豆餡に加えて、季節や嗜好に応じた栗餡など現代的なバリエーションも親しまれている。北京の胡同にある老舗や屋台では日常的な点心として広く流通し、宮廷点心としての歴史も有するなど、北京市民の生活と深く結び付いた菓子である。
- 味評価
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きなこがタップリまぶされており、歯応えあるもっちりな餅。加えて中の餡は伸びるようなペーストでほんのり栗の甘み。ぜひともノンシュガーな飲み物といきたい。
- 価格
- 31.9 人民元
- 食事日
- 2025/09/27
- 食べ歩きの記録
- ロバが地面を転げ回るという名前の北京伝統菓子、驴打滚(ルーダーグン)。一言できな粉ロール餅。餡ペーストの甘みが上品で、苦いお茶が欲しくなる。
ちなみに菓子は職人技術を要するものが多いので、宮廷都市には美味しい菓子が多いと推測。京都のお菓子が美味しい理由もきっと。
グルメAIによる解説
起源と歴史
驴打滚(ルーダーグン)は中国・北京発祥の伝統菓子であり、清代以降特に一般市民の間で愛されてきた。名称は「ロバが地面を転げ回る様子」に由来するが、これはきな粉をたっぷりまぶした見た目が泥だらけのロバを連想させるためである。北京の胡同(フートン)など古い街並みで現代も広く売られており、庶民の日常的な間食であると同時に、宮廷菓子(“京点心”)としても歴代皇帝や貴族に賞味されてきた歴史を持つ。
製法と材料
驴打滚はもち米や糯米粉を主成分とする生地を蒸し、柔らかく伸びる餅状にしたものに、餡となるペースト状の具材を表面に塗り広げた後、きな粉(炒り大豆の粉)をまぶしてロール状に巻き、切り分けて提供される。伝統的な餡は、甘い小豆餡やごま餡、もしくは緑豆餡が主流であったが、近年は栗やクルミなどバリエーションも豊かになっている。
栗餡バージョンは特に秋季や栗の収穫時季に人気を集めており、栗のペーストがもつ自然な甘みと濃厚さが、素朴な餅生地やきな粉の香ばしさと調和する。生地には油脂成分を含まず低脂肪で、きな粉と餡の素材感が主役となる。家庭で再現する際も工程は比較的シンプルだが、生地と餡のなじませ方や巻き方には職人の経験と技術が必要とされる。
文化的・社会的背景
北京の宮廷文化と市井文化が融合する中で、宮廷菓子職人による多様な創意工夫が一般にも波及し、中国各地に多種多様な点心が誕生した。特に驴打滚は、家庭や屋台でも作られる手軽さと、もっちりした食感・香ばしい風味が老若男女問わず親しまれる要因となっている。各家庭や店によってアレンジが多彩であり、桜の季節に合わせて桜餡、果実餡、季節の豆餡なども見られる。
北京五道営胡同にある老舗店「老北京驴打滚」では、伝統の配合と手作りの技術を守りつつ、栗味など現代の嗜好にも合わせたオリジナルバリエーションを提供している。近隣住民の朝食やおやつとしてだけでなく、観光客にとっても“北京らしさ”を味わうことができる土産として認知されている。
近年の展開と健康面
中国の健康志向高まりとともに、驴打滚も無糖きなこ、低糖餡、オーガニック材料の使用など工夫が加えられつつある。伝統的な味を守る動きと、素材アレンジによる革新が同時に進行しており、現代では乳製品や和菓子の製法を融合させた新しいバリエーションも各地で生まれている。グルテンフリーで動物性油脂も原則使用しないため、海外のビーガン向け点心ショップでも人気を博している。
類似する国際的な菓子との比較
驴打滚は日本の「きなこ餅」や韓国の「インジョルミ(인절미)」にも類似点が見られる。いずれもきなこを用いる点で共通しつつ、それぞれの国や地域ごとに餅の作り方、餡の種類、サイズ感などに独自性がある。また、京都をはじめとする宮廷文化圏では“美意識”が菓子にも反映されてきた経緯が見られ、それが北京の驴打滚発展の一因となった、との分析もある。餅菓子が東アジア各地で多様に展開している背景には、農耕文化と宮廷文化の強い影響が指摘されている。