フィッシュアンドチップス
フィッシュアンドチップスは、主にイギリスで発展した揚げ魚とポテトフライを組み合わせた料理である。19世紀以降、労働者階級を中心に広まり、イギリスを代表する国民食のひとつとされる。白身魚に衣をつけて揚げ、厚切りのポテト(チップス)とともに供されるスタイルが特徴で、伝統的にはタラやハドックなどの魚が用いられる。イギリス国外でも、かつての英連邦諸国や世界各地の都市部などで見かける機会が多く、地域ごとに食材や味付けの工夫が施されている。
- 味評価
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- 価格
- ? インド・ルピー
- 食事日
- 2019/09/16
- 食べ歩きの記録
- 物乞いは正しい価値観か
ガンジス川で有名なバラナシ。上流階級が下流へ金を恵む「バクシーシ」を知る。受け入れ難い価値観だった。
そして最寄り空港でフィッシュアンドチップス。タルタルと濃厚トマトソースでサクサクの和音サビで絶頂。食後にチップを要求され喜んで渡す自分がいた
グルメAIによる解説
フィッシュアンドチップスの概要
フィッシュアンドチップスは、伝統的にイギリスで発祥した料理で、白身魚(一般的にはタラやハドックなど)を衣で包み、油でカラッと揚げ、フライドポテト(いわゆる「チップス」)を添えて提供するシンプルながらも大衆的なメニューである。イギリスを象徴する国民食として知られており、19世紀中頃にロンドンや北イングランドの労働者層に広まった歴史を持つ。この料理はイギリス国外にも広がり、北米、オーストラリア、南アフリカ、ニュージーランド、インドなど多くの元英連邦諸国でもよく見られる。
フィッシュアンドチップスの構成とバリエーション
フィッシュアンドチップスは大まかに次の2つのコンポーネントからなる。
- フィッシュ:伝統的には鱈(タラ)やハドックを使うが、地域によってメルルーサ、ポラック、コールフィッシュ、シーバスなども使用される。小麦粉とビールや炭酸水をベースとした衣をまとうことで、サクサクとした食感を実現している。
- チップス:厚めにカットし、たっぷりの油で揚げたポテト。イギリス式チップスはフライドポテト(フレンチフライ)に比べて太く、ほくほく感が特徴である。
イギリス本土では、モルトビネガーや塩で風味を加えたり、マッシーピー(つぶしたエンドウ豆)、ピクルス、タルタルソースなどを添える習慣が根付いている。その他、最近では健康意識の高まりからベイク(焼き)タイプも提供されている。
バラナシにおけるフィッシュアンドチップス
筆者がこの料理を体験したのは、インド・ウッタルプラデーシュ州バラナシのラール・バハードゥル・シャーストリー空港である。インドは歴史的にイギリス植民地支配下にあった影響で、フィッシュアンドチップスも都市部や空港、観光地を中心に提供されることが多くなっているが、正統派イギリススタイルと比べて、現地の食材やスパイスが加味されている場合も多い。
特にインドでは、宗教的風習や魚の必要量供給の観点から、地元の川魚や海水魚が使われることもある。衣に使うスパイスや揚げ油にも違いが見られ、伝統的なレシピ以外に、マサラやインド特有のチャツネを添えたアレンジも少なくない。
この空港で提供されたフィッシュアンドチップスでは、厚めにカットされたポテトとともに、表面がサクっと揚げられた魚フライが盛り付けられており、タルタルソースと濃厚なトマトソースが添えられていた。こうした現地風の味付けやソースのバリエーションは、異国においてもフィッシュアンドチップスが親しまれている証拠である。
世界のフィッシュアンドチップス文化
フィッシュアンドチップスは「ワンハンドフード」として人気であり、イギリスでは新聞紙に包んで持ち帰るスタイルが20世紀中頃まで一般的であった。現代では衛生・包装基準の見直しにより、紙箱やクッキングペーパーが利用される。イギリスでは専門店(チッピー)が多く存在し、それぞれ独自の調理法やサイドメニューが楽しめる。観光地では伝統的な石畳のパブや海辺のテイクアウトスタンドでも提供されている。
世界的には、各国ローカルの食材や味付けの工夫がなされている。例えばオーストラリアやニュージーランドでは、現地産の魚やカラマリ(イカリング)、ベビースナッパーなどが使われることも多く、カナダや南アフリカでも食文化に根付いている。
現代社会とフィッシュアンドチップス
フィッシュアンドチップスはファストフードの元祖とも評され、豊かな都市生活の象徴とされる一方、労働者階級のソウルフードという側面も色濃い。家庭料理としても世界中で親しまれているが、今日では持続的な漁業資源の確保や油脂消費量への健康面の課題も指摘されている。フィッシュアンドチップスは、単なる食事以上にイギリスおよび元植民地地域での社会生活・文化史と結びついており、旅行者や地元民が国境を越えて共有できるグローバル・フードのひとつとなっている。